COLUMN
社長コラム
コラム:SPD専門企業が担う使命と役割
DALI株式会社 代表取締役 番場省吾
中小の医療機関にとって、物流管理システムを導入するためのコスト負担は決して小さくはあ りません。更に経営者の院内物流への関心度が高くなく、院内に購買担当者が不在の場合は、システム化を躊躇するケースも多いようです。WAMの調査(図参照)によると、物品・物流管理システム(SPD)未導入の病院は半数弱あるとの報告があります。恐らく従来からの伝票運用に支障を感じないことから、改善する機運が生まれにくいという背景もあるのではないでしょうか。一方、システムが導入されている場合でも、業務が属人化してしまい機能やデータを有効に活用されていないケースも多いと聞きます。これではシステムの恩恵を受けられないばかりか、業務のブラックボックス化(担当者しか理解できない)にも繋がりかねません。 いずれの管理手法にしても、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、PPEの慢性的な不足、支援物資の煩雑な管理を経験し、物流管理を見直す機運は高まっていると感じています。
そして現在日本は「人口減少」「長時間労働」「低生産性」という難題を抱えています。医療機関においても、医師や看護師をはじめとする病院職員全体の過重労働によって日々の業務が支えられているのが現状です。このような閉塞した状況の打開に向け「働き方改革」の必要性が国を挙げて強調されています。特に人口減少については、既に人手不足が叫ばれている医療現場において死活問題になることが予想されます。それぞれの専門に特化した業務とそれに付随する副次的な業務を切り分け、専門知識を必要としないルーティン業務をどのように効率化を図るべきかを検討しなければなりません。医師の働き方改革は待ったなしの状態ですが、医師以外のスタッフにも負荷がかかっているケースが多く、円滑なタスク・シフティングへのハードルが高いことが推察されます。医療職を支えるためには今後、事務部門の業務改革は必要不可欠であり、「今は特に支障がない」業務においても効率化が図れるところがないかという視点で模索を始める時期にきているのではないでしょうか。
そこで当社が担う役割として、まずは事務職員のタスクを見直すことから始め、その上で医師→看護師・コメディカル→事務部門へのタスク・シフティングを実行するためのサポート推進を新たな課題に設定しました。我々は院内物流最適化をメイン事業とするSPDの専門企業として、現在もSPD導入を支援していますが、これからは、より診療現場のニーズに合わせたシステム・運用をご提案するべくバックサポート体制の強化を図っています。導入後の運用確立やデータ活用を手厚くサポートすることで、より多くの診療現場と事務部門の業務・環境改善、ひいては働き方改革にも貢献する、という使命感を持って自分たちのやるべきことに邁進したいと考えています。